正しい議論をするために必要なこと(中高一貫対策の皆さんへ)

先日の出張授業にて「日本に動物園は必要か」という議題について作文指導・面接練習を行いました。中高一貫対策へ参加してくれた皆さんお疲れ様でした!
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メインとしては「反論」を想定して自分の主張を組み立てるという非常に難しい面接練習でしたが,みなさんの考えた主張は大人もうなるような内容もありも指導する側も勉強させられました。また今回の学んだことをそのままで終わりにしてもらうともったいないので,ここで授業で伝えられなかった内容について残しておきます。
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動物園の役割→https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2016pdf/20161101029.pdf
動物の権利
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8B%95%E7%89%A9%E3%81%AE%E6%A8%A9%E5%88%A9

動物園の1つの役割として「生態研究」「種の保存」があげられると思います。絶滅危惧種の「朱鷺(トキ)」を繁殖・保護をしている「佐渡トキ保護センター」や,中国以外でパンダをもっとも繁殖させている「和歌山アドベンチャーワールド(南紀白浜)」など生態研究の末に種の保存が成り立つことが分かるように企画展示などがされており,学習の機会として有益といえます。
※個人的には保護センターのトキを見ながら,もともと白い羽の色からピンク(オレンジ色?)に染まることから「朱(赤い)鷺」ということを知ったときの感動は忘れられません。

「動物園が必要という意見」の反論としては「動物園の生態研究のために動物の権利を侵してよいのか」「種の保存のために見世物小屋のような生活を動物に強いてもよいのか」などがあげられます。
生態研究で問題になった「ニム計画」→https://www.youtube.com/watch?v=IHoviCO7lpE
種の保存計画「フローズン・アーク」→https://www.afpbb.com/articles/-/3068539

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このようなどちらの意見も正当性がある場合,議論を進めるときに難しい部分は「どのような折衷案があるかを考える」という点です。その際に「正確な科学的知識」と「歴史的背景」を知っていることが必要で,それがないと「個人的な体験」や「快・不快」で物事を判断することになります。また,自分の意見を主張する際に知識に基づいた内容がないと「軽い意見」と捉えられてしまうことがあります。

過去にも科学的根拠ではなく根底にあるものは「快・不快」になっている議論(結論)は枚挙に暇がありません。

明治時代「小説を読むと死んでしまう」
→儒教の影響があった明治時代は虚構(嘘)には価値がないとされていました。
大正時代「野球は人間を堕落させる」
→明治末期に発行された「野球と其害毒」という本には「新渡戸稲造」「乃木希典」など校長という教育的立場で野球を「学業に害がある」と論じています。
昭和時代「テレビを見ていると目が悪くなる」
→昭和世代の方ははショックかもしれませんが科学的根拠はないそうです。また視力が悪くなるメカニズムは完全には解明されていません。
平成時代「ゲームをやりすぎると『ゲーム脳になる』」
→長時間することによって脳波に異常がみられるという理論ですが,現在は否定されています。
ゲームがやめられずに生活に支障が出る状態は「ゲーム依存症」という言葉が正確な表現のようです。
※ただし長時間スマホや3Dゲームをやると「斜視」の原因になることが報告されています。
病院のコラムより→https://www.toda-g.com/blog/%E8%8B%A5%E5%B9%B4%E8%80%85%E3%81%AB%E6%80%A5%E5%A2%97%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%9B%E6%96%9C%E8%A6%96/

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今後の授業でも「アクティブラーニング」「ディスカッション」「プレゼンテーション」など能動的学習が増えていきます。「正しい議論をするために正確な知識を身につける」このような姿勢で勉強に励んでくれると嬉しい限りです。

寒くなってきたので体調に気をつけて受験勉強に取り組んでください!応援しております!
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