【教務担当より】体験と知識について

川口元郷校教務担当の中野渡です。 

先日の保護者会でAL(アクティブラーニング)の話をさせていただきました。

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思った以上に反響が高く、

「効果的な勉強の仕方の話は、大変参考になった」、

「もっと具体的な話も聞きたい」

とのコメントもありましたので、HP内でサマリーかつ追加の内容をお伝えしていきたいと思います。

今回は「体験した知識と学力知識の相関」です。

私たち大人は、人生でいろいろなことを経験しているので「ある程度の常識」を「学問的知識」としてとらえています。

そのため、こちらが当たり前と思っていることを子供が間違うと「なんでこんなことも知らないのか」と感じますが、子供からしたら「文字で見た」「先生から耳で聞いた」レベルの知識なので、しっかりと活用できる知識として定着していないことが多いです。

例えば、小学生理科で「川の流れ」の単元があります。 

先生が、 

「上流は川の流れが速くて、下流は遅くなります」

「上流は川幅が狭くて、下流は広いです」 

など、黒板を使って口で説明します。

山間部の川や海につながる川、つまり「全体の川」を見たことない子供からしたら「机上の話」であり、なかなか知識としての定着はしづらいです。

私たち大人が「上流の川は流れが速くて、川幅が狭い」は、人生経験の中で見た川の映像やキャンプや登山をしたとき直接見た「川」のイメージがあるので、その「経験」が「知識としての説明」とリンクして記憶に残ります。

だから、「上流の川は流れが速くて、川幅が狭い」は当たり前のように思います。しかし、経験の少ない子供はちがいます。そのズレがあることを事前に理解していなければいけません。

例えば、私たち大人が「スロバキア共和国」と「スロベニア共和国」の違いについて授業を受けて、後日テストがあるとします。

「スロバキア共和国の首都はブラチスラバァで、5,445,000人の国で世界的には106位となっていて……」

などと講義を受けて、その講義だけでどれだけ身につくでしょうか。社会の苦手な私は、覚えるのは至難の業になりそうです。そもそも興味がないので苦痛の時間で、ほぼ覚えられないでしょう。テストの点数をとるためにはかなりの復習を要することになります。子供からしたら、前知識もなく興味のない授業はこんなものではないでしょうか。

しかし、旅行や仕事で上記の国を訪れたことがある人は「その国の人口の雰囲気や都市の雰囲気」、もしくは実際に電車を乗り継いでブラチスラバァを訪れた人は、国のイメージがあるので記憶の定着度は高いです。

「青森県に行ってリンゴ農園を見た子供」と「青森県のイメージが全くない生徒」に、社会の授業で「青森県はリンゴの名産」と伝えてどちらが記憶の定着度が高いかは明白ですよね。 

特に小学生での体験というのは学習効果が本当に高く、理科を勉強させたければ「山に行く」「星を見る」「植物を種子から育てる」「天秤を使う」など体験させることが一段と理科の定着つながるのでぜひ機会をつくって欲しいです。社会であれば「旅行に行った際は名産品を食べる」「写真を撮らせる」「歴史的建築物にふれる」などが効果的です。

《ALの考え方》

体験で得られた知識は本当に強いので、できれば多く体験できる機会を増やしたい。

大人の常識と子供の常識では、経験的知識のズレがある。